AI検索(Google の AI Overview など)が検索結果の上に答えを出すようになり、クリックされないまま終わる検索が増えています。GEO(AI検索に拾われるための対策)の記事を書くとき、最初に困るのは「この検索語は、AIが答えて終わる語か、人がクリックして読む語か」を見分けられないことです。
結論から書きます。ゼロクリックかどうかは、ツールで直接は測れません。だから2つの代理指標で測ります。
- 質問の商用度:その検索語のまわりで検索されている質問が、発注先を比較するものか、定義を確かめるものか
- 上位ページの深さ:検索結果の上位1〜10位の平均文字数
商用度が高く、上位が深いガイドで埋まっている語は、人がクリックして読み込みます。定義を確かめる語で、上位が薄いページばかりの語は、AIが先に答えて終わります。この2軸で、書く前に見分けます。
この記事は、GEO(AI検索に拾われる)シリーズの最初の作業です。どの語に時間を使うかを決めるための物差しを作ります。
目次
この作業で決まること
この作業が終わると、書こうとしている検索語が、クリックされて読まれる語か、AIに答えを取られる語かが決まります。
- クリックが残る語:記事を書いて流入を取る対象にする
- ゼロクリックになる語:主力の記事に置かず、別の語の記事の中で触れるだけにする
書く前にこの判定をしないと、時間をかけて書いた記事がAIの要約に食われて、表示されても読まれない状態になります。
よくある失敗:検索数の大きさだけで書く語を決めること。検索数が大きくても、答えがAI Overview に出て終わる語は、流入にはつながりません。
前提:この記事の前に必要なもの
- サイトの戦略1枚とAIに渡す4つの前提が用意されていること
- キーワードを調べるツール(私はラッコキーワードを使っています)
- 候補の検索語が数個あること
ラッコキーワードの機能のうち、この作業で使うのは「よくある質問」と「見出し抽出」の2つです。公式の仕様はラッコキーワードで確認できます。
AIに渡すもの
AIには、候補の検索語ごとに次の3点を渡します。
- 候補の検索語(例:
aio対策、llmo対策、ai overview) - その語の「よくある質問」の上位(ラッコキーワードの質問検索の結果)
- その語で現に上位にあるページの平均文字数(ラッコキーワードの見出し抽出の
averageWordCount)
AIは、この3点から次の判定を返します。
- 質問の中身:「費用」「相場」「会社」「業者」「比較」が多いか、「とは」「使い方」「違い」「オフにする方法」が多いか
- 上位の深さ:平均文字数が1万字以上か、数千字以下か
代理指標①:質問の商用度
1つ目の代理指標は、その語のまわりで検索されている質問の中身です。
人は、AIが答えて終わる質問と、クリックして比較したい質問を、違う言葉で検索します。
- クリックが残る質問:「費用」「相場」「おすすめの会社」「業者」「比較」。これは発注先を見比べる意図で、答えが1つに決まらないため、人は複数のページを開きます。
- ゼロクリックになる質問:「とは」「使い方」「違い」「オフにする方法」。これは定義や手順を1つ確かめたいだけで、AIが先に短くまとめれば用が済みます。
私が GEO 系の3つの語を調べたとき、aio対策 のまわりでは費用と会社比較の質問が上位に並び、ai overview のまわりでは「とは」「オフにする方法」が並びました。同じ「AI検索」の文脈でも、人が求めている答えの形が違います。
直さないとどうなるか:定義質問で埋まっている語に主力の記事を置くと、記事は上位に出てもクリックされず、AIの要約の素材として使われるだけで終わります。
代理指標②:上位ページの深さ
2つ目は、その語で現に上位にあるページの平均文字数です。
上位1〜10位が1〜3万字の深いガイドで飽和している語は、人がクリックしてから長時間読む語です。AIの短い要約では用が足りないから、人はページを開きます。逆に、上位が数千字の定義ページで埋まっている語は、AIが短く言い換えれば置き換えられます。
私が調べたとき、llmo対策 の上位は1万6千字から3万字の実録ガイドが並んでいました。同じ領域の ai overview は、上位の平均文字数が小さく、定義と手順の説明が中心でした。前者は書く対象、後者は主力に置かない対象です。
直さないとどうなるか:上位が薄い語に時間をかけて深い記事を書くと、Google は深さを求めていない語に深いページを出すことになり、順位が付きません。逆に上位が深い語に薄い記事を置くと、上位に届きません。
判断の基準
2つの指標を組み合わせて、次のように判定します。
- 商用度が高く、上位が深い:書く。クリックが残る商用の語。
- 商用度は低いが、上位が深い:書く。深い情報を求める語で、AIの要約では置き換えられない。
- 商用度が高く、上位が浅い:書く(ただし深く書く)。上位が浅いので、深く書けば差が出る。
- 商用度が低く、上位が浅い:主力に置かない。定義質問でAIに食われる語。別の記事の中で触れる程度にする。
よくある失敗:この判定を感覚で行うこと。質問の中身と上位の文字数を、必ず画面に出して数で見ます。
手順
- 候補の検索語を3〜10個、戦略1枚から拾う
- ラッコキーワードの質問検索で、各語の「よくある質問」の上位を取得する
- ラッコキーワードの見出し抽出で、各語の上位ページの平均文字数を取得する
- AIに2と3を渡し、質問の中身を「商用/定義」で分類させ、上位の深さを「深い/浅い」で分類させる
- 「判断の基準」の表に当てはめて、書く/書かないを決める
- 判定の結果と理由を全記事の台帳に1行足す
6を省くと、同じ語を何度も調べ直すことになります。
完了条件
- ☐ 候補の各語について、質問の上位と上位ページの平均文字数が記録されている
- ☐ 各語に「書く/主力に置かない」の判定が付いている
- ☐ 判定の理由(商用度と深さ)が1行で書かれている
- ☐ 「主力に置かない」とした語を、別の記事の中で触れる場所が決まっている
実際に起きた失敗
検索数の伸びだけで ai overview を主力に置こうとした
私はこの作業をする前、ai overview の検索数が伸びているのを見て、主力の記事を書こうとしていました。ゼロクリックを直接測る方法がなかったので、検索数の大きさで判断していました。
よくある質問を取り出してみると、上位に並んでいたのは「ai overview とは」「ai overview オフにする方法」でした。定義と、機能を止める方法を確かめたいだけの質問です。この答えは、AI Overview 自身が検索結果の上に短く出せば、それで用が済みます。
同じ領域の aio対策 と llmo対策 を同じ軸で見ると、質問は費用と会社比較、上位は1万6千字から3万字の実録ガイドでした。クリックして読み込む形が残っています。
主力の記事は aio対策 と llmo対策 に置き、ai overview は両記事の中で「機能そのものの説明」として触れる構成に変えました。検索数の大きさではなく、質問の中身と上位の深さで決めた結果です。
新しいドメインで、上位の文字数だけを目標にしようとした
上位が1万6千字から3万字の語を「書く」と判定したあと、文字数だけを目標にして記事を書き始めかけました。上位はSEO会社の巨大なガイドで、同じ量の情報を同じ構成で書いても、新しいドメインの私のサイトでは勝てません。
上位の深さは「深く書く」ための条件であって、同じ構成で書くための条件ではありません。深さを満たしたうえで、上位に無いものを足す必要があります。GEO 系の語で上位に共通して足りないのは、実際に自分のサイトや勤務先のサイトで試した一次情報です。深さと一次情報の両方を揃えるのが、新しいドメインが上位に入る唯一の形でした。
よくある質問
Q. ラッコキーワード以外のツールでも、この2軸は測れますか?
A. 測れます。「よくある質問」に相当する機能(検索語の周辺の質問)と、上位ページの文字数を取れる機能があれば、同じ判定ができます。ツールの名前ではなく、2つの指標が揃うかで選びます。
Q. 検索数(月間検索ボリューム)はもう見なくていいですか?
A. 見ます。ただし、書く/書かないの判定には使いません。検索数は「書く」と決めた語の中で、どれを先に書くかを決めるときに使います。順番が逆になると、ゼロクリックの語に時間を使うことになります。
Q. AI Overview の実表示を直接確認する方法はありますか?
A. 検索結果を自分で開けば確認できます。ただし、表示は検索するたびに変わり、地域や履歴でも変わります。1件ずつ確認するより、商用度と上位の深さで事前にふるい分けたほうが、同じ結果にたどり着きます。
