順位がある記事に触る前に測る|獲得KWを先に取ってから直す手順
散らかったサイトを作り変える途中で、「このページは公開基準に違反しているから直す」「サイトの方針に合わないから書き換える」と判断する場面があります。手が速い人ほど、ここで事故を起こします。
結論から書きます。公開中の記事に触る前に、その記事が今どの検索語で、何位に入っているかを必ず実測します。違反と判定した箇所と、評価されている箇所が、同じ要素であることがあります。測らずに直すと、順位を支えていた枠組みごと壊します。
この記事は、サイトの構造を作り直す作業の中で、既存記事に手を入れる前の最後の関門を扱います。中規模・小規模の修正にも同じ考え方を使います。
この作業で決まること
この作業が終わると、どの記事なら枠組みごと変えてよく、どの記事は違反箇所だけを抜くかが決まります。
- 獲得キーワードがある記事:タイトル先頭のキーワード・slug・一致している語など「枠組み」は残し、違反と実害だけを抜きます
- 獲得キーワードがゼロの記事:失う資産がないので、タイトル・slug・構成を含めて作り直してよいです
同じ違反に見えても、資産の有無で手の入れ方が逆になります。測らずに同じ基準で揃えようとすると、資産がある方だけを壊します。
よくある失敗:「公開基準に反する箇所は判断不要の先行実施でよい」と考えて、順位を測らずに一括で直すこと。基準は守るためのものですが、その基準に触れている記述そのものが検索流入を支えていることがあります。
前提:この記事の前に必要なもの
- サイトの全記事の台帳(ライブで作ったもの)
- Google Search Console のデータ
- 獲得キーワードを実測できるツール(ラッコキーワードの
influx-keywordsなど、ドメインとサブドメインを渡すと獲得キーワードと順位を返すもの) - 変更前の本文を退避する仕組み
Search Console の実績と、ラッコキーワードが外から見た獲得キーワードは一致しないことがあります。両方を見ます。
AIに渡すもの
AIには次の3つを渡します。
- 測定の順序:違反判定・直し方の設計より先に、獲得キーワードと順位の実測を終える
- 資産の有無で分岐する判断基準:獲得キーワードがある記事は「枠組みを残して違反だけ抜く」、ゼロの記事は「枠組みごと変えてよい」
- 測定結果の保存場所:記事ごとに順位ベースラインをファイル化し、差し戻しの判定ルールと旧版バックアップを同じ場所に置く
渡す基準に「古いマスターCSVや、過去の引き継ぎ資料に書かれた検索数は使わない」を1行入れておきます。過去資料の数字は、実測と大きく乖離することがあります。
手順
- 対象の記事を一覧にします(違反判定・リライト候補・統合候補のすべて)
- ラッコキーワードの
influx-keywordsに、ドメインとサブドメインを渡して獲得キーワードと順位を取ります。数分で終わります - Search Console の過去28〜90日のクエリも、同じ記事について取ります
- 記事ごとに判定します
- 獲得キーワードが1件以上あり、上位に入っているクエリがある → 枠組みを残す側
- 獲得キーワードがゼロ → 枠組みごと変えてよい側
- 枠組みを残す側では、上位クエリに一致している語・タイトルの先頭・slug・見出しの構造を洗い出し、「触らない要素」として記事ごとのファイルに書きます
- 変更前の本文と、順位ベースラインを退避します(例:
rank_baseline_<slug>_<日付>.mdと_archive/<slug>_live_<日付>.json) - 違反箇所と実害だけを抜く作業を、外科手術型のリライトの手順で行います
- 2〜4週間後に再測定します。順位が落ちていれば差し戻します
5番目は見落とされやすい手順です。「触らない要素」をファイルに書いておかないと、別の作業(メタの機械修正・内部リンクの入れ替え)が後から枠組みに触ります。
完了条件
- ☐ 対象記事の獲得キーワードと順位が、ファイルに保存されている
- ☐ 記事ごとに「枠組みを残す/枠組みごと変える」のどちらかが明記されている
- ☐ 枠組みを残す記事について、タイトル先頭の語・slug・一致している語が「触らない要素」として書かれている
- ☐ 変更前の本文と順位ベースラインが退避されている
- ☐ 再測定の予定日が決まっている
実際に起きた失敗
公開基準違反の記事を直そうとしたら、非ブランド流入の実質唯一の資産だった
勤務先のサイトで、公開基準に違反する記述を含む記事を見つけました。違反の種類は複数にまたがり、判定も明確だったので、違反箇所の削除を「判断不要の先行実施」として提案しました。
実測を挟む前に、「評価されている唯一の記事なので慎重に」という指摘が入りました。そこでラッコキーワードの influx-keywords でサイト全体の獲得キーワードを取ったところ、サイトの非ブランド流入は実質この1本だけでした。ブランド名での流入を除くと、他の記事の獲得キーワードはほぼ無く、該当記事が非ブランド流入のほとんどを担っていました。
さらに踏み込んで、上位に入っているクエリを一つずつ見ると、順位を取れているクエリはすべて、違反と判定していた要素と同じ枠組みから生まれていました。違反箇所と評価の源が同じ要素だったということです。当初案のまま違反箇所を削除していたら、サイトの非ブランド流入の唯一の資産を自分の手で壊していました。
ここから持ち帰った手順は2つです。1つ目は、違反と判定した要素がある記事では、順位の実測を先に挟み、違反箇所と評価の源が同じ要素になっていないかを確認してから直し方を決めること。2つ目は、過去のマスターCSVや引き継ぎ資料の検索数は、実測と大きくずれていることがあるので、判断の根拠に使わないこと。前者を手順に組み込まないと「違反は先行実施」の指示が資産を壊し続けます。後者を直さないと、ゼロと信じていた記事が実は唯一の資産だった、という逆転が繰り返されます。
よくある質問
Q. Search Console があるのに、外部の獲得キーワードツールもいるのですか?
A. Search Console は自分のサイトが実際に表示されたクエリを返します。外部ツールは、第三者から見てそのドメインが上位に入っているクエリを返します。見方が違うので、両方を見ると、Search Console では気づかなかった上位クエリが見つかります。公開記事に触る前は、両方を見ます。
Q. 公開基準に違反しているのに、消さずに残していいのですか?
A. 違反を残すのではなく、違反箇所と評価の源が同じ要素のときに、置き換え方を設計するということです。たとえば表現を変えて同じ検索意図に答える、構成を保ったまま言葉だけ入れ替える、といった置き換えを設計してから直します。「違反だから即削除」は、資産がある側ではやりません。
Q. 獲得キーワードがゼロの記事は、本当に失うものがないのですか?
A. 外部ツールと Search Console の両方でゼロなら、検索からの流入はほぼありません。内部リンク経由の役割(カテゴリや関連記事のつなぎ)が残っていることはあるので、台帳側で内部リンクの入り口になっていないかを確認してから、枠組みを変えます。
関連記事
- AIに既存記事をリライトさせると劣化する理由と、外科手術に分解する手順
- サイトに必要なのは大規模・中規模・小規模どの修正か
- インデックス回復の確認
- 全記事の台帳を作り、「今のサイト」をAIの判断の基準にする
次の作業
- 枠組みを残す記事に、違反箇所と実害だけを抜く外科手術を適用する
- 枠組みごと変えてよい記事を、中規模修正(カニバリの統合・内部リンクの張り替え)に回す
- 再測定の結果を見て、差し戻し判定を実行する